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2025年6月16日

きょうのKeril #5 〜エンタメで言う”文脈”って〜

みなさん、こんにちは。
きょうのKerilは矢内が担当します。

先週、なんと立て続けに別のクライアントさんから、とてもありがたい言葉をいただきました。

ひとつは、
「話の構成がよく練られていて、とてもわかりやすくできている」
という、いわゆる構成力へのお褒めの言葉。

もうひとつは、
「こんなにこちらの意図を汲み取って伝えてくれるなんて」
という、思わずじんとくるような感謝のメッセージ。

手前味噌ながら
どちらも方向性は違うけれど、共通していたのは
こちらが“context”をしっかり理解していたことへの
評価だったんじゃないかなと思っています。

この“context”という言葉、日本語に訳そうとすると、
いつもちょっと困ってしまいます。
以前帰国子女の友人と話していた時に、彼女は”前提”と言っていましたが、
とはいえ彼女の中でもそれがばっちりとハマるわけではないようで、
まさにLost in Translationだよね、と。

ちなみにエンタメ業界ではたいていの場合、「文脈」と訳されます。
こちらもまたしっくりこない瞬間もあるのですが、
逆も然りで、日本語の「文脈」を英語にしようとしても結局
“context”としか言いようがなかったりするわけです。

このふたつは、なんともお互いに“訳しきれない”言葉同士なんですよね。

わたしたちが仕事で大切にしているのは、
まさにこの「contextを読む」力だと思っています。

それは単に空気を読むとか、表情を察するとか、
そういうことともちょっと違う。
過去の経緯、関係性、タイミング、立場、目的、感情の流れ。
“context”が何かを説明できないのと同じように、
明確に何とはいえないその「なにか」をとらえて、
作品や構成に反映させていく感じ。

「構成が練られている」と言われると
単にロジックの話だけじゃなくて、文脈ごと設計できていたのかなと嬉しくなるし
「意図を汲み取ってくれた」という言葉も
発された言葉の意図までをちゃんと読み取れていたのかなと安心する。
ちゃんとわたしたち、いい仕事できたんだなって思えた瞬間でした。

わたしたちはいろんな業界、いろんな人々の想いの
橋渡しをするためのモノづくりをしています。
これってある意味ではcontextの翻訳作業なんだなあ、と常々思うのです。

頭の中にある曖昧なもの、無意識な気持ち、共有されている前提、
そういう目に見えない文脈を、見える形にすること。

その橋渡しがうまくいったときに
「わかりやすい」とか「伝わった」って言ってもらえるんだろうなと。

クライアントさんにいただいた温かい言葉を胸に
改めて、見えないものたちと、そしてそれを象る言葉たちと
真摯に向き合っていかねばと思いました。